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ドイツ・ミュンヘンの産業ロボット企業RobCoが、従業員による4,000万ドル超の株式売却を経て、企業価値10億ドル超の水準に達した。約9カ月前は5億ドル前後とされており、短期間で倍増した計算になる。同社はAIを載せたモジュール型のロボットを手がけ、主力の双腕ロボット「Alfie」は、製造現場の手作業の8〜9割を自動化できると説明されている。今回は新株を出して資金を集めたのではなく、従業員が持ち株を売る形だった点も特徴だ。ロマン・ホルツルCEOは、最も伸びが速い市場である米国の事業に力を入れる方針を示している。

引用元: ドイツの産業ロボット企業RobCo、企業価値10億ドル超に到達(Reuters)

分析・見解

部品のように組み替えられるロボットが小ロット現場に合う

産業ロボットは長く、自動車や電機の大工場で同じ作業を繰り返す機械だった。専用の設備を組み、SIer(=ロボット導入を請け負う会社)が数カ月かけて調整する。この方式は量産には向くが、品種が多く数量が少ない工場には重すぎた。RobCoのモジュール型は、腕や台座、カメラなどを部品のように組み替える発想である。作業が変わったら構成を変えればよい。設備を使い捨てにしない点が、小ロット現場との相性の良さにつながる。

評価額が倍になった理由は、手作業という大きな残り市場にある

ロボットの導入が進んだ自動車や電子部品の工場でも、組み付けや検査、箱詰めなどの手作業はまだ大きく残っている。形が一定でなく、従来の自動化が手を出せなかった領域だ。Alfieが手作業の80〜90%を狙うと説明するのは、この残り市場の広さを示している。9カ月で5億ドルから10億ドルに上がったのは、投資家がその広さと、AIで開拓できる見込みに値をつけたからだろう。ただし8〜9割という数字は企業側の説明であり、実際の工程でどこまで出るかは現場ごとに差が出る。

従業員の株式売却は、会社が次の段階に入った合図

今回の4,000万ドル超は、新株の発行ではなく、従業員が持ち株を売る形だった。創業期の資金集めとは性質が違い、社員の努力が報われる段階に入ったことを意味する。人材の引き留めという面でも大きい。ロボットとAIの両方を扱える技術者は世界的に奪い合いになっており、報酬の出口を用意できる会社は採用で有利になる。

米国への注力は、人手不足と賃金上昇への賭けである

CEOは米国を最も成長の速い市場に挙げた。米国では製造業の人手不足が続き、賃金も上がっている。人を一人雇う費用が上がるほど、ロボットの元が取れる期間は短くなる。欧州の技術を米国の需要にぶつける構図は、協働ロボットで先行したデンマークのUniversal Robotsの歩みとも重なる。そこに、AIで作業を覚えさせる手間を減らすという新しい強みが加わっている。

ビジネスへの影響

全部を自動化せず、手作業の一工程から試す

RobCoの例が教えるのは、工場全体を作り替えなくても、一つの手作業工程から自動化を始められるという点だ。まず、人が毎日繰り返している作業を洗い出す。部品の移し替え、ねじ締め、検査台への載せ替えなどが候補になる。そのうえで、品種替えの頻度が高い工程を優先したい。モジュール型なら、一度入れた設備を別の工程に転用できる可能性がある。

機械の値段ではなく、回収にかかる期間で比べる

導入の判断では本体価格だけを見がちだが、見るべきは段取り替えの手間と、立ち上げにかかる期間を含めた総額である。人件費が年々上がる中、2シフト分の作業を肩代わりできれば、数年で元が取れる場合もある。見積りでは、初期の導入費、保守費、別の工程へ移す費用の3つを並べて比べたい。

海外の新興企業との付き合い方を先に決めておく

米国で伸びる企業は、いずれ日本市場にも来る可能性が高い。国内のSIerや既存メーカーは、価格と導入の速さで比べられるようになる。発注側は、実機での実演、現場での試験導入、保守の体制という3点を条件にすると失敗が減る。評価額の高さは技術の保証ではない。自社の現場で確かめる姿勢を忘れないことだ。

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