IFRの搬送・物流ロボット統計を読む

IFRは2026年9月30日、World Robotics 2026のサービスロボット分野の情報を公表しました。2025年の業務用サービスロボット出荷は前年比24%増の約25万台で、搬送・物流分野の販売は117,500台、前年比21%増とされています。搬送の自動化を検討する際の外部環境を知る資料になります。

この統計は産業ロボットの統計とは対象が異なります。また、搬送・物流分野の台数全てが工場用AMRを意味するわけではありません。AMRは周囲の情報を使って移動する自律移動ロボットです。本記事では数値を自社の普及率に置き換えず、工場で導入する条件を編集部の視点で整理します。

引用元: World Robotics 2026:業務用サービスロボットと搬送・物流分野の動向(国際ロボット連盟(IFR))

ニュース公表日: / 資料確認日:2026年10月4日

AMRは走行と荷物の受け渡しを設計する

走行後の受け渡しまで測る

AMRの検討では、通路を走行できるかと、荷物を必要な場所へ必要な時刻に渡せるかを別々に確かめることが有用です。走行性能が良くても、積み込み待ち、受け取り側の作業待ち、空容器の返却などが残れば、工程全体の改善は小さくなる可能性があります。搬送の前後を含めて観測する必要があります。

編集部は、最初に搬送要求の発生から完了までを記録することを勧めます。誰が搬送を依頼し、何を載せ、受け取り側で誰が完了を確認するかを揃えます。荷物の形状や重さだけでなく、受け渡し位置、保管方法、品種違いを確認する手順も、提案の前提になります。

混雑と人の動きを試験に含める

走行経路については、通常の時間帯と混雑する時間帯を分けて見ます。設備周辺での人の動き、台車の一時置き、扉の状態など、日常の変化を試験条件へ含めることが重要です。安全性の確認と、生産上の受け渡しを成立させる確認は、それぞれ担当者を決めて記録する必要があります。

購入とRaaSは同じ範囲で比較する

サービス契約に含まれる範囲

購入とRaaSを比較する場合、支払い方法だけで決めると範囲が揃いません。RaaSはロボットの利用をサービスとして提供する形態です。契約によって、保守、ソフトウェア、復旧支援、更新、消耗品などの扱いが異なるため、何が料金に含まれるかを確認します。費用の優劣は個別条件で判断する必要があります。

購入する場合にも、初期設備費以外の運用費用があります。工場内システムとの接続、通信環境、充電設備、荷物を載せる周辺装置、運用の教育を整理します。稼働開始後に経路や搬送先を変えるとき、誰が設定を変更し、どの支援が必要になるかも、見積もりに関係します。

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購入後の変更と停止への備え

停止時の代替搬送も契約と運用に含めたい項目です。ロボットの復旧までの間、何を人が運び、どの順番で処理するかを決めておきます。台数を追加すれば解決する場面と、荷物の受け渡しや工程の調整が必要な場面を区別すると、費用を増やす前に検討すべきことが明確になります。

比較・確認の論点

編集部による整理。個別設備・製品・契約の条件と照合してください。
項目確認する条件判断の目的
荷物の受け渡し積み込み、完了確認、空容器返却走行前後の待ち時間を把握
工場の経路混雑、人の動き、一時置き日常の変化を実証条件へ含める
契約・料金保守、更新、変更、周辺設備購入とサービスの範囲を揃える
停止時の対応代替搬送、復旧、再開の担当者供給を維持する手順を用意

工場で実証する場面と停止時の手順

実証では通常の搬送だけでなく、要求が重なる時間、材料不足が起きた場合、通路が使えない場合などを試します。搬送要求の開始と完了、待機した理由、手作業で補った範囲を同じ形式で記録します。走行速度だけを評価せず、受け渡しを含む時間を測ることが重要です。

充電と保守の時間も生産の計画へ反映します。必要な時間帯に使用できる台数、充電場所、点検時の代替手順を整理し、現場が変更できる設定と供給企業に依頼する設定を分けます。通信や設備連携で問題が起きた場合の連絡先も明確にすると、担当者の間で対応を切り分けやすくなります。

受入条件には、搬送先で荷物を正しく受け取れること、誤った要求を処理できること、停止後に再開できることなどを含めます。当サイトのAMRとロボット導入工程のレポートを合わせて読むと、移動装置と生産設備をつなぐ際の論点を確認できます。

判断の基礎を確認する関連レポート

編集部の見方とよくある質問

当サイトは搬送ロボットの動向を、工場の材料供給や工程間の受け渡しの設計へつなげます。今回の市場情報をきっかけに、自社で何を搬送し、どの条件で改善が見込めるかを具体的にすることを勧めます。

導入後に注目するのは、完了までの時間、停止理由、人による補助、設定変更にかかる作業などです。自動で走れた場面だけを成功例にせず、混雑や品種変更のある日にも工程を維持できるかを点検すると、追加導入の判断材料になります。

117,500台は工場用AMRの販売数ですか?

IFRが公表した搬送・物流分野の販売台数です。工場用AMRだけの数値として扱わず、対象分類を確認して使用します。

RaaSなら初期費用や保守は不要ですか?

契約によって範囲が異なります。周辺設備、工事、保守、消耗品、設定変更などが含まれるかを確認し、購入と同じ運用範囲で比較します。

AMRの実証で走行速度以外に測ることは?

搬送要求から荷物の受け渡しまでの時間、待機理由、手作業の補助、停止後の再開などです。混雑する時間帯の条件も試験に含めます。