2026年版の統計が示す2025年の動向

国際ロボット連盟(IFR)は2026年9月24日、World Robotics 2026の発表で、2025年に工場で稼働していた産業ロボットが世界で500万台となり、前年から9%増えたと公表しました。同年の新規導入は60万台を超え、前年比11%増でした。発表年は2026年ですが、ここで示す実績の対象年は2025年です。

一方、日本の2025年の新規導入は36,219台で、前年比19%減とされています。世界の稼働台数、世界の新規導入、日本の新規導入は、それぞれ異なる範囲の数値です。本記事では統計を混同せず、自社の産業ロボット導入にどう役立てるかを編集部の視点で整理します。

引用元: World Robotics 2026:世界の産業ロボット稼働台数が500万台に(国際ロボット連盟(IFR))

ニュース公表日: / 資料確認日:2026年10月4日

市場の伸びと自社工程の採算は別に読む

稼働台数と年間導入の違い

稼働台数は工場に積み上がった設備の規模を表し、新規導入台数は一定期間に増えた設備の動きを示します。稼働台数が増えていることから、個々の企業の投資回収が良好だと直接結論づけることはできません。工程、製品、稼働時間、保守費用が違えば、同じロボットでも採算は異なるためです。

編集部は、世界の伸びを導入を急ぐ理由にするより、自社の工程を観測するきっかけにすることを勧めます。人が部品を持ち替えている時間、機械が待っている時間、検査で止まる時間を分けて記録すると、ロボットで改善できる範囲が明確になります。作業全体の中で何が制約になっているかを先に確かめます。

地域の統計を自社に当てはめない

日本の新規導入の減少についても、一つの工場に当てはめて設備の必要性が低下したと読むことは適切ではありません。自社の受注構成や人員体制は市場全体と違う可能性があります。統計は外部環境の資料として使い、自社の工程に関する観測値を別の判断材料として持つことが有用です。

導入費用は周辺工程と保守まで含める

周辺設備を含めて費用を比較する

工場自動化の費用を比較する際は、ロボット本体の価格だけでは範囲が揃いません。ハンド、供給装置、治具、検査、制御との連携、設置工事、教育など、対象工程に必要な作業を見積もりに含めます。どこまでが提案に含まれ、どこから工場側の準備になるかをロボットSIerと確認する必要があります。

運用後の負担も区別します。安定して同じ作業を繰り返す時間と、品種が変わって設定を調整する時間では、必要な担当者や支援が変わります。段取り替えを誰が実行できるか、異常時に誰が復旧するか、予備品をどう手配するかまで整理すると、導入後の体制を費用に反映しやすくなります。

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運用の負担と財務効果を分ける

投資回収の試算では、削減できると見込む工数を全て人件費の減少として計算しないことが大切です。実際には配置転換、残業の抑制、生産余力の増加など、効果の現れ方が異なります。工数の変化と財務上の効果を分けて示す方が、現場と経営が同じ前提で判断できます。

比較・確認の論点

編集部による整理。個別設備・製品・契約の条件と照合してください。
項目確認する条件判断の目的
対象工程作業・待機・停止の記録ロボットで改善できる範囲を確認
設備費用ハンド、供給、検査、設置、教育本体価格以外も比較対象にする
運用体制段取り替え、復旧、保全の担当者継続して動かすための負担を計上
投資回収配置変更と財務効果の対応工数削減と費用削減を区別

工程観測から受入条件までの進め方

最初に、候補工程の作業と停止を観測します。通常品だけでなく、扱いづらい製品、工程が混み合う時間、材料補充の場面も記録します。最高速度だけを目標にすると、実際の生産で時間を使う条件が抜けやすくなります。対象とする品種の範囲を最初に決めることが重要です。

提案の比較では、ロボットSIerへ同じ製品条件と受入条件を渡します。良品を安定して生産できること、品種変更を行えること、停止後に作業を再開できることなど、工場が必要とする場面を確認します。評価に使用する部品、試験方法、記録の範囲を揃えると、見積もりの違いを説明しやすくなります。

受入後は、生産、保全、品質の担当者がそれぞれ必要な記録を持てるようにします。作業の速度が上がっても検査や補充が追い付かなければ、工程全体の改善は限定されます。当サイトの投資回収とロボット保守のレポートを使い、設備の導入と運用の設計を一緒に進めてください。

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編集部の見方とよくある質問

当サイトは産業ロボット導入を、設備台数と同時に、工場で継続して良品を作れる条件から評価します。今回の統計は市場の地域差を理解する資料です。自社の採算は、工程観測と費用範囲を揃えた試算で検討することを勧めます。

今後の確認では、統計の実績と予測を区別し、対象年も併記します。工場側では、候補工程の稼働率、段取り替え、停止理由、運用に必要な担当者の状況を追うことが、次の導入を判断する材料になります。

500万台は2026年に導入された台数ですか?

2025年に世界で稼働していた産業ロボットの台数です。同年の新規導入台数とは別の指標で、発表は2026年9月に行われました。

世界市場が伸びていれば投資回収も早まりますか?

自社の採算は製品、工程、稼働時間、周辺設備、保守などで変わります。市場の成長率を自社の投資回収率へ直接置き換えないことが重要です。

見積もりで最初に揃える項目は何ですか?

対象品種、良品の判定、周辺設備、段取り替え、停止後の復旧を含めた作業範囲です。同じ受入条件を提示して提案を比較します。